作:稲田 和子 再話
絵:太田 大八
出版社:童話館出版
サイズ:23×26cm
ページ数:40ページ
【店主 蓮岡より】
おすすめの年齢 7歳から
【出版社より】
これは山陰の昔話です。あるところに、長者がいました。もうじき子どもが生まれるので、遠い商いの先から、帰る途中のことです。日が暮れてしまったので、塞の神さまの木のもとで宿をとることにしました。明け方近く、しゃくしの神やなべしきの神、ほうきの神がシャン、シャン、シャンと塞の神を訪ねてきて、長者は神さまたちの話を耳にします。神さまたちは、お産を守り、運を授けに行くのです。聞けば、長者のところは男の子で青竹三本の運、となりの小作人のところは、女の子で、塩一升の運。やがて月日が経ち、長者は、18歳になった息子の嫁に、となりの小作人の娘を選びました。神さまの話を覚えていたのです。娘は良い女房でしたが、長者の息子は遊び人のだんなでした。ある年の夏、だんながお昼の膳を足で蹴飛ばし、女房はだんなに見切りをつけて家を出ます。すると蔵の神さまも次々と出て行きます。女はふろしき包みひとつを持ち、だんなも家も捨てて、チョンチョの群れを追って、やがて炭焼きの五郎左衛門の小屋にたどり着きます。翌朝、女は五郎左衛門に小判を渡し米を買ってきてほしいと頼みますが、五郎左衛門は女に鴨を食べさせてやろうと、預かった小判を投げてしまいます。女はあきれ悔しがりますが、五郎左衛門は「あげに光るもんなら、わしの炭焼き釜のまわりに、なんぼうでもあるわ」と答えます。それから女は五郎左衛門の女房になり、五郎左衛門は万石長者になりました。(編集企画室 U・A)